美容師ONLY

No.61

2003年7月23日

お祭りの季節

私の育った町のお祭りを紹介しよう・・・。

秋田港のある土崎港祭りは地元の若者達にとっては年に一度の大イベントだ。
そしてこの町で育った者にとっては、このにぎわいが忘れられない・・・。血が騒ぐってやつだ・・・。

私の記憶の中ではこの祭りの魅力は強烈な柳の樹液と重油の匂いにほかならない。
子どもの頃から祭りの度に山車に飾り付けた柳の枝と、木製の車軸と車の中心に叩き付ける油の匂いを脳裏にしっかりと焼き付けられている訳だから、逃れられないのだ・・・笑

もう一つ付け加えるならば、祭りのクライマックスに披露される特別なお囃子がある。
「港あいや節」と呼ばれるこの囃子は、太鼓の叩き手と笛の絶妙なコンビネーションが、祭りの最後を引き締める・・・。

祭りの中心に入って酔いつぶれ、汗をかいていた頃には気がつかなかった幾つかの要因が、しばらく故郷を離れる事により、本当の魅力がどこにあるかが見えて来たような気がする。

とかくにぎわいや提灯、そして飾り付けや景気の良いお囃子に目を奪われがちだが、じつは匂いだったり、車軸の軋み音、更には叩き疲れた頃に繰り広げられるむせび泣くような静かなお囃子が人間の五感に染み込むのかもしれない・・・。

少なくとも私は、祭りが終盤を迎え、観客が誰もいなくなって各町内に辿り着く頃の、けだるさが漂う「あいや節」を聞くのがたまらなく気に入っているのであります。

観光地図にはあまり大きく取り上げられる事のない「港まつり」だが、このまま地元の者たちだけの夏の楽しみとして脈々と生き続けていけば良いと思う。観光客の事などお構いなしに、地元の人間が本当に楽しむ為のお祭りがそこにあるのだから・・・。

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