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史上最悪の列車事故に思う
兵庫県で電車が脱線、マンションを直撃・・
ホントに悲惨な現場からの映像が続いた。
一昨日の事故から時間が経つに連れ犠牲者の数が増えていくのはスマトラ沖地震の時と同じだが、今回も事故直後の映像がすぐに公開され、次々と被害の状況が伝えられた。
国内の事故で、しかも都市の中と云う事もあって多くの目撃証言が集められた。そして実際にその列車に乗り合わせ、運良く生還された乗客からの生々しい証言がリアルに伝えられた。
もっと凄いのは、まさに現場で生き埋めになってしまった乗客から携帯電話やメールで状況が伝わったという。
こんな電話を受け取った家族や友人は始めは冗談だと思っただろう・・。さもなくば腰を抜かしたかもしれない。
なに冗談言ってるの・・って怒り出すことだって考えられる。
でも、逆に娘に電話が繋がらなくなってしまった・・・と不安な表情を隠せないでいる父親の姿もまた、印象的だった。どんな結末が待っていたとしても、それまでは確実にその親子は携帯で結ばれていたはずだから・・。現代社会の中で携帯電話が支えている多くの面を見せられたような気がする。そう言えば、15年程前、日本の宇宙開発の第一人者でもある糸川博士を尋ねた事がある。
人間は早く動き過ぎるようになった事で多くの災いがもたらされる・・。と言った言葉が印象に残る。
人類が作り出した乗り物の中で最も早いロケットを開発した博士から、人間はもっとゆっくりと生きる方が幸せなのだと・・・。
その時に説明された事例の一つにHIVのまん延があった。航空機の発達で保菌者が世界中に広まってしまった。
昔ならばアフリカの一部の地域で収束出来たかもしれない。
もう随分前の事になった気がするが、ジャンボ機が墜落した時も500名もの人間が音速に近い速度で移動する事が、どれ程のリスクを秘めているかを思い知らさせたが、あの事故の時でさえ運良く生還出来た人が居たのだから人間の運・不運は計りしれない。
今回の列車事故に遭われて運良く生還された方には心から感謝の言葉を送りたい。事故に遭わなくとも自らの人生を終えてしまう方が後を経たない現代社会では、事故から生還されただけでもそれは人々に素晴らしい勇気を与えてくれる事なのだから・・・。最後にこの度の事故のニュースに関する報道で、気になる評論がある事も付け加えたい。
それは、現在の新型車両では性能を重視するばかりにアルミなどの軽量化が進み、ひいては強度が失われた為に乗客の被害が増大したように論ずる評論家がいる事である。
勿論、強度を増す事は車両設計の大事な骨格ではあるが、昔のように重いから頑丈と云う論理はあまりにも幼稚だ。
運動エネルギーをいかに安全に収束させるかが被害に繋がる大きなポイントである以上、軽く丈夫に造る事が大事な事で、昔のように重い車体はそれ自体が大きな運動エネルギーを持つ訳だからむしろ被害が広まる可能性もある。
今回のようにマンションに100km/h以上のスピードで衝突したら既にビルそのものが崩壊して生存者がさらに少なくなっていたはずだ。
比較するのは不謹慎であるが、F-1マシンはカーボンコンポジットで軽くしかも固いモノコックが作れるようになったお陰でドライバーの安全面は大きく向上している。
勿論物事には様々な方向から検証する事が必要だからどれが正論かを論ずる事は難しいが、少なくとも移動車両に関する限りぶつかる側だけではなくぶつかられる側の安全や、更には環境に対する配慮なども加味されて、バランスの良い車両開発が求められるはずだ。
そんな観点で最近の新幹線を見ると、ほんとに良く出来たシステムだと思うのである。
もしこれにも何か問題点を指摘するとなれば、それはあまりにも正確過ぎる事だろうか・・・。
時速300km/hもの速度で移動していて数時間後にプラスマイナス数秒の誤差で到着することが当り前になっているのが不自然なのである。
もう少し誤差の範囲を拡げてもそんなに困らないようなシステムこそがこれからの公共交通のあり方だと思うのである。遅れを取り戻す為にスピード違反・・などと云うのがもっとも馬鹿げた事なのだから・・・・・。